←HOMEに戻る

★TOP(まえがき)

★経路・旅支度
(〜2003年9月6日)
想いは募ったり疲れたり

1日目
(2003年9月7日)
出発
2日目
(2003年9月8日)
一日だけの九州男児
3日目 屋久島1日目
(2003年9月9日)
到着!屋久島
4日目 屋久島2日目
(2003年9月10日)
一日中、屋久島
5日目 屋久島3日目
(2003年9月11日)
台風が来る
6日目 屋久島4日目
(2003年9月12日)
台風の日の過ごし方
7日目 屋久島5日目
(2003年9月13日)
白谷雲水峡
8日目 屋久島6日目
(2003年9月14日)
縄文杉に会いに行く
9日目 屋久島7日目
(2003年9月15日)
屋久島よさようなら
10日目
(2003年9月16日)
九州もさようなら
11日目
(2003年9月17日)
大阪も住めば都か?

あとがき

屋久島情報

屋久島Photo



ねぼけた私を見下ろし話し掛けて来たのは二人のおまわりさん。どうやら見回り途中で、コインランドリーの前にバイクが止めてあったので入ってみると、大の男がガーガー寝てるので声をかけて来たようだ。
「何してるんですか?」と聞かれた私は、寝起きだった事もあり何も考えず正直に「明日、縄文杉登るんで明日に備えて寝てました」と答えました。よく考えると大阪では小言の一つも言われそうな返答でしたが、そのおまわりさんたちは「どこから来たの?」と仕事上、私の免許証などを確認した後「じゃあ、明日登山頑張ってね」とやさしく声をかけてくれて、その場を去っていきました。……屋久島はこうも人をやさしくするのか(笑)
まあそれだけ犯罪の可能性が少ないって事なんでしょうね。


8日目 その1

コインランドリーでぐっすり眠った私は予定通り4時半過ぎに起き、朝の気持ち良さを感じつつ一路縄文杉の待つ、安房方面にバイクを走らせました。
登山のお弁当と言うとおむすび…かどうかわかりませんが、屋久島には『登山用おむすび弁当』を売っている所をチラホラ見かけます。その中でも『島むすび』というお店がインターネットでよく出て来ていたのでそこで買おうと前を通りかかると、何やら予約制らしい事が書いてあった。しまった〜受注生産なのか!?そんなの知らなかったなあ。少し残念に思いつつそのまま通り過ぎました。島むすびで買えなかったのは仕方が無い。ただこのままだと縄文杉の所で食べるゴハン自体が無い。どうしよう…とそのまま安房に着いてしまい、いよいよ縄文杉の登山口へ行こうとした時に、こんな早朝から煌々と明るい建物に「登山弁当」の文字が!早速、閉めてあった窓をコンコンとたたいて中の人を呼び出し、念願の登山弁当をゲットするのでした。
(そこも本来は予約制のようだったんですが多少余分に作ってあるそうです。じゃあ、島むすびでも聞いてみたらよかったな〜〜なんて。)



私の覚え違いで、宮之浦から安房まで予想以上に距離があってドキドキしましたが、いよいよ島の中心に向かってバイクが入って行きます。
まだ空は真っ暗状態の中、ウネウネとくねる登山道を登って行きます。ここも例によって反射板のみが手がかりなのでかなり恐い。少し走らせると前後から車の音がしてきました。やはり登山するために皆来ているんだなあ。と思いつつ走らせて数十分、登山口近くの道はまるで都会の道路のようにギュウギュウ状態!乗用車あり、民宿のバスあり、送迎バスあり屋久島に来てから一番の盛り上がりです。すごいな〜〜まだ5時台なのに。どうやら駐車スペースを確保するのにかなりの時間がかかっているようです。
でも私は何のその、そんな時のバイクです。すい〜っとスリ抜けを繰り返し、素早く登山口まで来る事が出来ました。


8日目 その2

縄文杉への入口、荒川登山口です。空もすいぶん明るくなってきました。そりゃあもう何だかんだでここに辿りつくまで約1時間半、6時くらいになっていました。
登山を6時にスタートする人達が多く、狭い山道を追い抜くのは難しいし迷惑なので、私はバイクを止めると早速、縄文杉登山をスタートするのでした。









登山口の写真にも映っているように、この登山は延々と続く『トロッコ道』と呼ばれる線路から始まります。昔、伐採した木材などをトロッコで運ぶ為にこの線路が使われていたそうです。そんなトロッコ道をのどかな気持ちでテクテク歩いていく。何だか線路道を歩くっていいもんですねえ。こんな自然の中の線路を歩いたのは生まれて初めてかもしれません。





………………………………………………どれぐらい歩いただろうか…。かれこれ1時間はず〜っとこの線路道を歩いている。最初のテクテクと楽しく歩く感覚なんかはどこかへ飛んでしまっています。
なぜならこの線路道、実は枕木の間隔がバラバラですごく歩きにくいのだ。歩くリズムを崩される上に、注意して歩かないと「グキッ」と足をくじいてしまいそうになる。そんな時に感じるとてつもない単調さが何とも言えない(汗)
でも動作は単調ですが、景色はさすが!絵になります。(歩いている時にこれぐらいの余裕があれば。笑)






もうこのままどこか別の国にでも行ってしまいそうな位長く感じたトロッコ道がようやく終わりました。まだ縄文杉を見ていないのに何とも言えない達成感(笑)
ふと横を見ると『縄文杉→(矢印は斜め上)』の看板があり、上が見えない階段が続いている。これは縄文杉に会うための試練ですか!?縄文杉とはそんなに徳の高い霊樹様なのですか!?試練ならそう言って下さいぃぃ…(笑)
階段一歩目の足がまず上に上がらない…。延々と続くトロッコ道をこれまた昨日のごとくハイペースで歩いて、足がガクガク。しかし本番はここからという事である。

長い階段を登り終えると、今度は登山の始まりだ。全体的に昨日の白谷雲水峡の経験が生きた。
途中、大〜〜〜きな岩があってどうやって向こうに行くんだろうとよく見ると、ナナメに傾斜がついた所に、太いロープが。これをツタって向こうに行けと…。後でオバチャンとすれ違ったんですけど、よくあそこ渡ってこれたなあと思う。
景色は、慣れてしまってはいるがやはりここもそこいらの森ではお見かけ出来ないような不思議な感じのする森でした。ミドリ率高し。





後から思えば、もう登山も後半に差し掛かったあたりと思われる時に目の前に現れた「ウィルソン株」。
どなたかのプロモーションビデオでも見たような気がしますが、皆さんは見た事なかったですか?
確かウィルソン博士が研究してたか何かだったと思います。これは残念な事に、株の部分だけが残っていて上が無いのですが、他に見える大きな木とは比べ物にならない位大きいんです。写真に見える株の穴の部分には人間が余裕で入れます。
静寂が包む森の中、このウィルソン株がすごく神秘的に映りました。



8日目 その3

私は以前にも書いたとおり登山経験はほとんどありません。そんな中、登山をしていてふと気付いた事がありました。登山者同士がすれ違う時「こんにちは〜」って挨拶するんです。もちろん私もしました。森の景色と登山の雰囲気が手伝ってか、とても清清しい気持ちになりました。ほとんどの人がしてましたし、登山途中からは無言で通り過ぎそうだと思えばこちらから挨拶していました。
ああいう習慣はどれだけ無関心な世の中になっても無くなって欲しくないものだと思いました。





随分、山の奥に入って来ました。縄文杉まであとどの位かなど全く解らなかったのですが、森の雰囲気というか空気というかもうすぐ縄文杉に会えそうな気が何となくしてきました。
そこで、登山慣れしてそうなご夫婦(だってスキーみたいにストック持って駆け降りてました)が前方からいらしたので「縄文杉までって近いですか?」と聞くと「ああ、もうすぐもうすぐ。あと10分か15分くらいですよ」と教えてくれました。
おお〜やはりそうか!!いよいよ縄文杉のお目見えか〜この野郎。やったー。
ここでふと思う…6時スタート組の私は結構早いペースで歩いて来ました。しかも序盤で人を抜きまくってからは後半、逆進路の人とは多少すれ違うものの進行方向の人は一人も見ませんでした。オオ!?これってもしかしてすっごい好条件で縄文杉が拝めるかもしれない。縄文杉を独り占めにして抱きついてやる〜〜〜〜〜!!
と、ここで川を発見したのでしばし休憩。水もキーンとは冷えていないがそこそこ美味しい。やっぱり景色も綺麗だなあ……。なんてジャバジャバやっていると、後ろからすごい早いペースで歩いて来る人が。「こんにちは〜」と挨拶を交わしつつ(しまった〜〜!)と思う私を横目にその人は颯爽と歩いて行く。なんだかウサギとカメのお話を思い出してしまった。
私も休憩はそこそこに再び歩き出した。





しばらく歩くと、何やら最後の砦にふさわしいゲームのような階段が突然出現しました。この階段を見ると今までの苦しかった登山がまるで何も無かったかのように心が踊り出し、疲れきった身体は階段をタンタンタンと音を立てて小走りで登り始めました。
白谷雲水峡がメインだったのに、縄文杉なんてそんなに興味なかったのに。体が、心が、何を求めて動きだしました。


階段を登り終えるとそこには……………











グ、グワ〜!で、でけえよ!
これが木ですかと感じさせる位の大きな木が目の前に現れました。さすが樹齢の一番長い木だけあって貫禄がありました。木をよく見ると、かの画家の縄文じいさんがオジイサンの顔にしたのも納得出来る気がします。
是非抱きつきたいと思っていたんですけどね。この縄文杉までは撮影している高台から結構距離があってむやみに近付けないようになっているのです、残念。
人の存在はというと先ほど抜かれたばかりのその人がただ一人そこに立っておりました…。ああ惜しい事をしたなあ。それはそれとして一通り撮影を終えた私は早速お弁当を食べる。何の事は無い『型にハメて作ったおにぎり』に『みりんにぼし』です(笑)だけど美味しかったあ。食べている時に後続の人がチラホラとゴールして来ました。

私はご飯を食べ終えると縄文杉をもう一瞥だけして早々と帰路に。
帰りの方が大変でした。 何が大変って疲労などではありません。「対向者がいる」という事です。実質2着でゴールした私が折り返し帰るとなると、それまで抜いて来た人も含めて縄文杉を目指している人全員と細い道を譲り合いながら進んでいかなければなりません。
途中、老人会のような人達が50人位いるのを見かけましたが、その前後の人達は遅くてピリピリしていました。 屋久島に来てまでそんな……早く出てよかった。
何だかんだで、結局登って来た山を降り、歩いて来たトロッコ道を同じように戻ってきました。 帰りも登山者全員をやり過ごしてからは、一人トロッコ道を自然に溶け込み歩く事が出来ました。屋久島本で見ると一日仕事だと書いてあったのですが、お昼には戻って来てしまいました。





予想以上に早く戻って来た私ですが、次に行く所は決まっていました。そう、忘れよう忘れようと思いつつも心のどこかに残っている『スマートメディア』です。 荒川登山口に戻った私は、バイクで永田いなか浜にあるうみがめ館に行く事にしました。
うみがめ館に入るも、よく考えたら昨日の夜は真っ暗でどんな人達だったかほとんどわからないなあ。男の人と女の人って事ぐらいしか…。まあ何にせよ、うみがめ館の人って言ってたし。
とりあえず受付にいる女の人に

「あの〜昨日…」
「え?あ…もしかしてカギ無くされた人ですか?」
「あ、はい!そうですそうです!」

と言うと、その女の人の手にはもう一つの無くしたはずのスマートメディアが!
おお〜助かったあ〜マジで良かったよおTvT
「ちょっと待って下さいね」
と女の人が言って戻ってくると奥から男の人が。どうやらこの二人が昨日の二人だったようだ。
男の人は昨日、私がへたり込んだのを覚えていて「へたり込んだ?へたり込んだ?」と女の人に聞いていました(笑)さすがに今回はへたり込みはしませんでしたが、とても嬉しかったです。このスマートメディアがなければ、この屋久島日記も無かったと思います。

男の人は用事があるとの事なので、もう一人の女の子にこのうみがめ館の見学をかねて説明をしてもらう事にしました。赤ウミガメや青ウミガメなどウミガメの生態を教えてもらったり、サメなど他の生き物に首だけ食べられたウミガメのショキングな写真など、色々見たり聞いたり出来て勉強になりました。ちなみに左の写真は、保護しているウミガメの赤ちゃんだそうです。そこそこ大きくなると自然に返したりするそうです。



一通り楽しんだ私は、心の底からのお礼を言ってうみがめ館を後にするのでした。



外に出てふとバイクを走らせながら気付いた事がありました。やけに涼しいなあ。台風もすっかり通り過ぎているはずなのに。しばらくは涼しいらしい。どうやら私が大好きな暑い南国はこれから秋になろうとしているらしい。
台風が過ぎると共に屋久島の夏が終わりを告げた。台風よーい、夏を返せ〜。



…………大阪に帰ろう。

←7日目:BACK NEXT:夏の終わりは旅の終わり?→




8日目(9月14日[日])の時系列順おこずかい帳
おむすび弁当(登山用)
500
DAKARA2L@198×1 207
洗濯 300
インターネット30分 520
雑費 13,293
ENEOS@133×9.4L 1,313
バイキング 1,500
17,633
  (うち飲食3,520)

CopyRight(c)2004 All rights Reserved by pori-bucket.com/Aki-o